高粘度ペーストの冷却

プロセス: 傾斜パドルで撹拌されている 3.5 m3 タンクでのペーストの冷却、混合

課題: 工程に時間がかかり(1 バッチあたり 9.5 ~ 10 [hr])、製造コストが大きくなっていた

目的: 運転時間を 1 バッチあたり 7 時間以下に低減する

従来のアプローチ: 冷却効率を改善するには、装置の伝熱速度を向上させる必要があります。高粘度溶液の伝熱を促進するにはへリカルリボン翼が有効であることが知られています。しかしながら、大規模な装置になると撹拌翼の変更には多額の費用がかかります。

VisiMix によるアプローチ: モーターとシャフトを変更しない実現可能な構成をモデル化し、シミュレーションによって伝熱速度の改善が可能なものを見つけ出します。

シミュレーションの示唆: 傾斜パドルを多段にすると冷却効率が改善できると予想し、シミュレーションで実現可能な構成での伝熱効率を既存のものと比較検討しました。従来、単一で使用していた傾斜パドルをより小さい翼径の三段翼とすることで、伝熱速度の大幅な改善が見込めました。

VisiMix による解決: 撹拌翼を変更することで、伝熱速度が約 45 % 向上できると見込めました。実際に、この変更によって冷却時間を 9.5 時間から 6.5 時間に減らすことができました。さらに、冷却水の流量を増やすことで、10% の工程時間を削減しました。

結果: この工程について、以前は運転員の夜勤が必要でしたが、工程時間の短縮により日勤時間に収めることができました。結果として製造コストを大きく削減することにつながりました。

技術メモ

既存の装置のシミュレーション結果(伝熱速度):

複数の改造案についてシミュレーションを実施し、撹拌動力と伝熱速度から検討を行いました(※既存のモーターで運転が可能かを検討するために、消費動力についても評価が行われました)。その中から、冷却時間の低減が見込め、改造費用が最も抑えられる構成が選択されました。

選択された改造案のシミュレーション結果: